
世界五大クオリティペーパーの一つと言われるLe Monde(ル・モンド)紙。
その社説(éditoriaux)の洗練された鋭い分析には定評があり、政治、経済、社会、そしてフランス、ヨーロッパを含む地域・国際情勢など幅広い分野をカバーしており、興味は尽きません。
このコラムでは、毎回、Web版Le Mondeの社説から記事をピックアップし、当協会講師である、西口先生による簡単な解説を載せていきます。
社説を読み解くのは確かに難しいですが、少しの解説が理解の手助けになるはずです。
フランスで起こっていること、話題になっていること、さまざまなテーマに触れ、いろいろな角度から、フランスの今をとらえてみたいと思います。
2023年6月19日 社説概要
83年前、ド・ゴールが対独レジスタンスを呼びかけた記念すべき6月18日に、共産党員としてレジスタンスを先導し、フランスのために戦い、ドイツ軍に処刑されたアルメニア人を、今日のフランスを築いた英雄としてパンテオンで祀るとマクロン大統領が決定したという内容。
レジスタンスにまつわるド・ゴール派とフランス共産党のわだかまりにも触れている。partagéeという「共有する」「意見が分かれる」と反対の意味を持った注意を要する言葉も登場する。国民の移民に対する不満を背景に極右政党が勢力を拡大するという現実の中で行われた今回の決定。マクロンの決定を、好意的にとらえつつも、?も臭わせる。