一般社団法人 神戸日仏協会 Blog

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忘れ物を届けに

日仏共演和太鼓コンサート

2023.8.5(土)

2023.8.12(土)

入場無料

お申し込みは不要です。お気軽にご来場ください。

※演奏終了後、募金箱を設置し投げ銭を募ります。

開催概要

フランス・トゥレーヌ地方を代表する和太鼓集団ENISHI(縁)が、その設立の発端となった少年(Takao)のレクイエム曲『TAKAO(崇音)』を、少年の両親に捧げるために来日することとなりました。

「忘れ物を届けに」と題されたこのコンサートの趣旨に賛同する、元フランス甲南学園和太鼓部の卒業生、甲南大学和太鼓同好会甲(KINOE)の現役学生揖斐大和太鼓(岐阜)のメンバーが集結し、それぞれが大切にしてきた『TAKAO』を皆で演奏することで23年前に旅立った少年の魂の安らぎを共に祈ります。

神戸日仏協会が後援するコンサートです。当協会が提携するサンシール日仏友好協会の方々が来日され、演奏をされます。日仏交流の大変すばらしい機会となることと思います。ぜひご参加ください。

出演者

8/5  Enishi・甲南大学和太鼓同好会甲KINOE・元フランス甲南学園和太鼓部卒業生・揖斐大和太鼓

8/12  Enishi・元フランス甲南学園和太鼓部卒業生・揖斐大和太鼓

主催者からのメッセージ

23年間の思いの詰まった、コンサートです。
1993年、フランス甲南学園トゥレーヌの国語教師として赴任した僕は、いつか和太鼓部を作ってみたいとずっと思っていました。ある年、ひとりの保護者さんから「うちの息子は小学校で和太鼓をやっていたから、ご協力しますよ」との申し出を受けました。
提案をありがたく頂戴した僕は、3者面談のために帰国したその年の夏に、保護者さんと共に京都まで和太鼓を見に行き、宮太鼓2台、平太鼓3台を見繕い、夏休み明けにその生徒(孝夫君といいます)と共に活動を始めるのを楽しみにして、お別れしました。
ところがあろうことかその数日後、孝夫君が事故で亡くなってしまったのです。中学3年生でした。
僕は、ショックでしばらくその事実を受け止められませんでした。
葬儀に参列し、ご両親にお悔やみの言葉を述べながら、和太鼓の件はご辞退申し上げました。
しかし、夏休みが明けて帰仏してみると、和太鼓が5台フランスに届いていたのです。
「孝夫の遺志を継いでほしい」。
ご両親のその思いを受け止めた僕は、覚悟を決めて『崇音(たかお)』という曲を作り、全校生徒の有志とともに、和太鼓部を立ち上げました。2000年のことです。
生徒たちは熱心に練習に励み、やがてフランス国内はもとより、ドイツやイギリスでも演奏するまでに成長し、地元で人気の和太鼓チームとなりました。
また、地元自治体が支援を続けていたセネガルの地方都市「クサナール市」のために、毎年チャリティーコンサートも行い、閉校までの9年間で200万円相当を寄付し、学校の校舎が3つ建つなど(そのうちの一つにはKONANという名前がついています)、和太鼓を通じた国際貢献もできました。

残念ながら2013年でフランス甲南学園は閉校となりましたが、和太鼓チームの解散を惜しむ地元の方々の声に押されて、僕がフランス人に和太鼓を教え始めることとなりました。
それが今回来日するENISHI(縁)の前身です。
その後3年かけて、生徒たちがやっていた曲をほぼ全てメンバーに教え、2016年にこの和太鼓チームを元同僚の馬込江美子さんに託して、僕は日本に完全帰国しました。
江美子さんは全情熱を和太鼓に注ぎ込み、その指導とメンバーの頑張りによって、ENISHIは今やトゥレーヌ地方を代表する和太鼓集団として、立派に活動を続けています。

そしてフランス甲南学園が閉校して10年が過ぎた今年、ENISHIのメンバーから、『崇音』をご両親の前で演奏したい、との声が上がりました。この曲は、生徒たちが最も大切にしてきた曲で、必ずコンサートの最後に演奏してきました。その精神は、卒業生が甲南大学に作った和太鼓サークル「甲(きのえ)」にも引き継がれ、そして今僕が揖斐川町でやっている大和太鼓(やまとだいこ)のメンバーにも引き継がれています。もちろんENISHIにとっても最も大切な曲です。

今回、その思いを共有するすべての人々、ENISHI、甲、フランス甲南和太鼓部卒業生、そして揖斐大和太鼓のメンバーが集結し、23年間積み上げた思いを、孝夫君のご両親の前で披露するとともに、天国で見守り続けてくれた孝夫君にも、捧げたいと思っています。
「忘れ物を届けに」。フランス人メンバーの思いが、そのまま今回のコンサートのタイトルとなりました。
ぜひお誘いあわせの上、ご来場ください。

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